第9回講演会
プログラム1
『ご挨拶』
NPO「丸山ワクチンとがんを考える会」理事長
東京大学名誉教授:篠原 一
今、ご紹介のありました篠原でございます。ちょっとのどが悪いものですから、途中お聞きづらい点があるかと思いますが、ご勘弁いただきます。
今、司会のほうから申しましたように3月11日に大震災がありまして、その後余震が続いていたりしておりまして、きょうも2回ぐらいありました。外へ出ることで皆さんにご迷惑をおかけすることがあるのではないかと思って非常に心配しておりましたけれども、2カ月たてば大丈夫じゃないか、それ以前にやるのはちょっと常識にはずれているのではないかと考えまして、ともかく2カ月をちょうど過ぎたところでございますので、予定どおりやらせていただくということにさせていただきました。
私たちのこのNPOは乳がんの患者との対話とかお話し合いとかをパンフレットにしたり、あるいは研究の先生方にご協力をしたり、あるいは地方でいろんな講演会をしたりしてまいっておりますが、定期的な講演会を5月にこの如水会館で行うということが決まっておりまして、それがちょうど9回目を迎えることになりました。去年の5月に開催しまして、きょうで9回目ということになります。
実はこの1年の間に丸山ワクチンに関してどういうことがあったか、毎回ほんの2〜3分簡単に私から申し上げておりますので、本日も申し上げてみたいと思います。
昨年の5月に政治のほうで菅直人さんが総理になられました。丸山ワクチンを最初に製造承認申請をしたのは1976年でございます。
これはご存じのように1981年に臨床結果が十分とはいえないということで認可にならなかったわけでございますが、その手続が非常に不明瞭であって非合理的だということで、ちょうどその前の年に政界入りをした若い菅さんが率先して国会で丸山ワクチンに関する集中審議をしていただきました。それは今でもインターネットで見られるのですが、大変な影響を及ぼし、私たちも非常に力づけられたわけであります。これはなぜかというと、今言ったように決定の仕方がまずいのじゃないかということを、公的な場で、いろんな角度から追求したものだからです。
その後ずっとこの問題は今までまだ認可を受けていないのですけれども、去年の9月に菅直人さんが民主党の代表選挙戦に臨みまして、そのときの演説の中で自分は若いときから不条理に対して戦ってきたのだと、その精神は忘れていないという例として丸山ワクチンの集中審議のことに触れたわけです。私たちは「えっ」と思って、急に丸山ワクチンが出てきたので驚いたくらいで意外だったんですけれども、ともかくそういう経緯がございました。ちょうど30年たって一人の政治家が大成するまでの間に認可されなかった、非常に長い間されなかったということになります。
私は実は昨年の暮れに菅総理とかなり長い間お話する機会がございまして、そのときは天下国家の話ですから私のほうから、丸山ワクチンに関しては一切言い出さないということにしていたのでございますが、実は向こうのほうから積極的にどうなっているんだという話がありまして、「いや、丸山ワクチンの会の人も来てくださっていいんですよ」という非常に積極的な発言がございました。そののちことしの1日に発表された年頭の首相談話で3つの理念を述べた中で、不条理の戦いということを最大理念の一つとして掲げております。これは首相の発言ですから重たいものを持っているというふうに思っております。丸山ワクチンを念頭において不条理であるということを言われたのだと思います。
ちょうどその頃、去年の11月11日に日経新聞で丸山ワクチンの記事が出まして、ゼリア新薬の厚生労働省に対する製造承認へ向けての臨床試験が最終段階に入っていると。アンサー20という今のBと比べて100倍濃度が濃いものがあり、それはすでに認可されているのですが、実はアンサーではなくて元来のSSMですね、丸山ワクチンを子宮頸がんの治療薬として治験をしていまして、これがことしの秋に検査結果を開けて、そしていろいろ調べた結果よければ2013年の末までに申請許可を求めるという記事が出ておりました。そのちょっとあとですが、私は経済のことは知りませんが、日経ヴェリタスとかという関連紙だったと思いますが、そこでゼリア新薬のいろいろな企画の中で丸山ワクチンの認可問題が大きな可能性というか、重要な意味を持っていて、たしか株価が上がっているのか下がっているのか知りませんが、何かそれと連携をしているというような記事が同時に載りました。客観的にそういう指摘があったということだけちょっとお話申し上げておきたい。丸山ワクチンの問題は動いているということでございます。
きょうはそれとは関係ございませんけれども、ご案内にありますように長年病理畑でがんの組織分析をしてこられた亀谷先生に、今までのワクチンの臨床結果について分析をいただきます。実は私たちの運動は長いものですから関係してくれた先生もお亡くなりになってしまいまして、川崎医大の木本先生もそのお一人で、いろいろすばらしい実証結果を発表されたのですけれども、おそらくそれについてもお話をいただけると思って非常に楽しみにしております。
この会は同時に臨床の先生にもお話をいただくということになっておりまして、非常にご多忙でおられる帯津先生にご快諾いただけました。帯津先生は最近、『學士会報』にも連載をされておられまして、私も愛読させていただいているのですけれども、きょうはまたそういうお話が聴けると思って楽しみにしております。
ちょっと時間をとりましたが、経過報告ということでこれで終わらせていただきます。どうかよろしくご清聴のほどお願いいたします。(拍手)