講演会(ご案内・ご報告)

第8回講演会

プログラム1
『ご挨拶』
NPO「丸山ワクチンとがんを考える会」理事長
東京大学名誉教授:篠原 一


 ただいまご紹介のありました篠原でございます。きょう、講演会の第8回を開くことになりました。これまでずっとこの東京の如水会館で開催していますが、前回は昨年の5月で、それからちょうど1年間がたっております。 実はその間に何もしていなかったわけではなくて、地方の講演会をやり、地方の方々と交流をしてまいりました。 昨年の秋に滋賀県の高月町という、今はたしか長浜市になっていると思いますが、そこで開催しました。 また、伊丹先生というここでもお話をいただいた先生と合同で岡山でも同様の会合をいたしました。この間に2つ地方の講演会をやってまいりました。

 その間いろいろの事態の展開がありました。たとえば、丸山ワクチンに対する評価の変化などが出てまいりました。 ごく簡単に申しますと、昨年の講演会の際、高橋先生からいわゆる自然免疫と丸山ワクチンに関して新しい研究のご発表をいただいたわけでございますが、だんだんと自然免疫のことが普及をしてまいりまして、例えば昨年の10月と11月には日本経済新聞と産経新聞でがんの特集がありました。 これまでは丸山ワクチンは何かにつけ難癖をつけられるものでしたけれども、こういう風潮はもう変わったようです。 要するに「コーリーの毒」と同じように、どうやら理論的に証明をされたらしいと述べられ、特に産経新聞の11月7日の場合は、丸山ワクチンをめぐる流れが変わった、自然免疫論が出たことによって流れが変わった、明らかに丸山ワクチンの理論的裏づけができたという評価がありまして、こういう評価に驚きました。 いずれも自然免疫論の台頭によるものです。

 その延長ですが、同じく高橋先生がことしの初めに『未病と抗老化』という老化に対抗するという専門誌に「免疫力による未病のがんの制御」という論文をお書きになっておられます。 ちょっと難しいものですけれども、これもたいへん勉強させていただきました。 簡単にいうと未病というか、病気になる前の状態において獲得免疫とは違って自然免疫がいち早くがんを制御するメカニズムを説明なさったわけでございます。

 そうしますと、これからは一つの方法としてはそのような未病のがんの制御といいますか、超早期治療といいますか、今までは非常に重篤になってからワクチンを打つというイメージがありますが、そうではなくてもっと早い段階で打つべきだというふうにだんだん変わってきていると思いますので、これからはそういうことも含めて、この講演会を発展させていきたいと考えております。 以上が自然免疫に関することでございます。

 もう一つは、去年というわけではございませんけれども、きょうおいでいただきました中井先生が2008年3月に「丸山ワクチンについての私見」というエッセーを『みすず』にご発表になりました。 『みすず』というのは出版社が出している小冊子でございますが、それが非常に反響を呼んで増刷をするということになりまして、それからすぐご存じのように『臨床瑣談』という随筆集がみすずから出ました。 これも大変に影響がありまして、丸山ワクチンに対する普及といっては語弊がありますが、その認知に非常に大きな影響を及ぼしました。

 中井先生はご承知のように精神医学の大家でございまして、しかし同時に先生のエッセーを読むと、日本で初めてウィルスを結晶化した人でして、世界では21番目とか書いてありましたが、日本で初めてウィルスを結晶化されたというような基礎医学の経験をお持ちと同時に、非常に有名なエッセイストでもございまして、ご存じと思いますけれども岩波書店から『私の日本語雑記』という随筆集がきのう出たところでございます。 そのほかたくさんのエッセーがございますが、これほどたくさんのエッセーをお書きになっている先生は珍しい。 非常に幅が広くて、今申し上げましたような自然免疫だけではなくて、広く臨床の結果も含めてきょうはお話が聞けると非常に楽しみにしております。

 実は『みすず』が出たときに私たちは、たしか第5回目の講演会だったと思いますが、ぜひ中井先生をお呼びしたいということをここで申し上げまして、公約をいたしたのでありますけれども、去年は先生がおからだを壊しておられまして、今流行りの言葉でいうと危うく公約違反になりそうな状況になりました。 幸い「いや、今年は行ってもいいよ」というようなお話でございましたので、2年ぶりに先生の講演を実現することができて大変うれしく思っております。

 もう一つ、きょうご講演いただく安藤先生でございますけれども、先ほどご紹介ありましたように、もうおそらく羽田にはお着きになっていると思いますので、間違いなくおいでくださると思いますが、このレジュメでもありますように安藤先生は北九州で病院を経営しておられる方で、実はここにありますように四位一体療法の中で、丸山ワクチンをその療法の一つとして非常に高く評価して臨床に当たっておられる先生でございます。

 実は、私たちこういう講演会をやる中で第2回目に帯津良一先生、この先生はいろいろなところでお名前をお出しになっているからご存じだと思いますが、それから第3回目は伊丹仁朗先生という富士山に患者を連れて登ったりされた方のお話をいただきました。 いろんな療法をやっているけれども、その中で丸山ワクチンを非常に積極的にお使いくださっている、そういう先生のお話を聞くというのが一つの流れになっておりまして、そういう意味できょうは安藤先生のお話を伺いたいと思います。

 安藤先生はおそらく標準療法を除いて四位一体療法いうことを言っておられるのだと思います。 私もがんだったのですけれども、がん患者というのはただ生きればいいので、何の薬が効くかなんて関係ないんですね、したがって変な言い方をすると、柔道でいうような一本などというのは、がん治療にはないのだと思うんですよ、すべて合わせ技なんです。 最近の私たちの社会科学の領域ではエキメニカルといいまして、世界宗教的というのはいろいろ宗教があって、それは寛容にお互いを尊敬しあって、それぞれ共同していくというそういうシステムが非常に必要だというふうな時代になってきています。 我々もそういういろんな療法を最近の言葉でいうと、コンプリメンタリーというのですけれども、相互補完的にやっていくということが大切ではないかというふうに思っておりますので、その一環として安藤先生をお招きしたというわけでございます。

 きょうはせっかくおいでくださいましたので、時間がもったいないですから中井先生にゆっくりしゃべっていただきたいと思いますので、これで私の話を終わらせていただきます。(拍手)