講演会(ご案内・ご報告)

第6回講演会

プログラム1
『ご挨拶』
東京大学名誉教授:篠原 一


東京大学名誉教授:篠原 一  本日はどうもお集まりいただきまして、ありがとうございます。ちょうど今、新型のメキシコ風邪が流行っておりますが、にもかかわらず多数お集まりいただきまして大変にありがとうございます。素人がそういうこというのも何ですけれども、今度の新型インフルエンザは何か1957年以前に生まれた方はかかる率が少ないという、アメリカからそういう話があったそうですが、これはきょうのお話にあると思います獲得免疫の問題だと思います。しかし若い方でも感染した人はほとんど少数でございまして、おそらくそれは大部分これからお話にあるような自然免疫が効いているからこういうふうになっているのでしょう。

 このように、インフルエンザの問題が出まして、免疫が非常に重要な問題になってきました。きょうは高橋先生からそういうお話もあると思いますが、第1回の講演会のときに高橋先生にお願いをいたしまして、「丸山ワクチンと自然免疫」というようなお話をしていただき、実はこれが私たちNPOの活動の原点になっています。そしてまだ4年はたっていませんけれども、もう一回高橋先生にお願いして、そしてその後の問題の展開をお話いただこうと思っていました。新しい原点の展開に大変に期待をしています。

 そして次が服部先生でございます。実は30年も前になりますが、丸山ワクチンの運動を始めたときに余り科学性のないようなことは運動といってもやりにくい。ただ信者の活動ではないわけで、科学的な根拠がないと運動はできないと私たちは思っていました。運動を始めたのがたしか1980年の後半だと思うのですけれども、そのときに実は服部先生の臨床の研究が出まして、これは80年の前半だと思いますが、それを私たちは読ませていただいて、これはやっぱり科学的にいけるんじゃないかというふうに思ったのです。そのほか例えば当時は後に東北大学の学長になられた石田名香雄先生とか、あるいは佐々木研究所の佐藤博先生とかそういう方の基礎医学的な研究と合わせまして、これは絶対いけるというふうに思って運動を始めたわけです。そういう意味で服部先生の論文は、運動のひとつの原点なんですね。きょうは2つの新旧というと語弊がありますが、元来の原点と新しい原点のお二人の先生をお招きいたしたわけで、私もどういう話を聞けるか非常に楽しみにしています。

 第5回の講演会は昨年9月だったと思いますが、その間にいろんな本が出ました。私たちは在家仏教で専門の僧侶ではありませんので、いろいろ本を読んで独学で勉強させていただいているのですけれども、最近岸本先生ともうお一人中嶋さんという方の共著『新・現代免疫物語「抗体医薬」と「自然免疫」の驚異』という本が講談社のブルーバックスというシリーズから出ました。これはやや専門家むきの話でちょっと難しい面があると思いますけれども、我々、ことに患者は、在家仏教としてはやっぱり一生懸命勉強しないと自信を持ってがんと闘えないという面がありますので、そういう意味では非常に役に立つはずです。

 ただし、高橋先生のお話を伺うと、この岸本先生という方は元来獲得免疫の先生だったそうで、最近になって自然免疫の研究に入られたそうで、この本も後半が自然免疫になっております。そして、その中に「丸山ワクチンの効用も自然免疫」という項目がありまして、たくさんではありませんけれどもそれなりにふれられています。山村先生の系統の免疫学の方でもやっぱり丸山ワクチンはだんだん認められてきています。おそらく自然免疫論がノーベル賞の対象にでもなると、急に丸山ワクチンはブレークするのではないかというのが、私の考え方でございまして、もし興味がありましたらお読みいただきたいと思います。

 それからもう一つ最近出ました本で、『がんに効く生活』という本があります。これはフランスのシュレベールという人で、先端的な脳学者でまた精神医学の臨床医ですが、この人は自分の脳ががんにおかされて、それ以来いろんな療法を研究された。いわゆる専門の対処療法として手術とか放射線とかのほかに、食事療法とかヨガもそうですが、あるいは心の問題も含めていわゆる代替医療といわれているものが重要とされ、この両方が重なった統合医療センターの所長をしておられます。この本も科学的で専門的な本で、丸山ワクチンのことはもちろん書いてありませんけれども、われわれにとって役に立つもので、読みやすい本です。どうかそういうものをお読みいただいて、そして自信を持って治療にあたっていただきたいと思います。

おそらく近代科学的療法(手術療法、放射線療法、化学療法)と、生活を通しての代替療法を二つの輪とすると、科学的手法によって自然免疫を強化する丸山ワクチンなどのそれらをつなぐもう一つの輪があって、これらの療法が「統合」されることによってはじめて、人間は十全にがんに対処できるのではないでしょうか。

 きょうは、お二方にわれわれにとっての2つの原点のお話を伺いたいと思いますので、どうか最後までよろしくご清聴ください。どうもありがとうございました。(拍手)